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糖尿病学会との意見の相違

ゼップバウンド注射部位

糖尿病学会との見解の相違。〔糖尿病 68(4):130~131,2025〕

抗肥満治療薬の適応外使用に関するやりとりの要約

鈴木吉彦医師の見解(HDCアトラスクリニック)

近頃、Wegovy(セマグルチド)やZepbound(チルゼパチド)の適応外処方に対して、学会レベルで厳しい対応方針が示され、保険適用範囲外で処方する医師には学会退会措置が検討されているという懸念が示されています。

 

主な主張: 保険診療だけでは収益確保が難しくなり、医師の労働環境・モチベーション低下が問題となっている 自由診療は医師の専門性を活かし多様な治療オプションを提供できる貴重な場であり、適応外使用で専門医資格剥奪などの処分は、優秀な糖尿病専門医の学会からの流出や早期引退を招く恐れがある チルゼパチドは糖尿病発症阻止確率が95%以上あり、糖尿病予防は学会の使命であるため、有効な手段の活用を阻む姿勢は責任放棄である 現状のままでは、これらの薬剤に詳しくない美容医が増え収益を上げる一方、詳しい糖尿病専門医が減り、臨床の質低下や糖尿病専門クリニックの破綻につながる

 

日本糖尿病学会の回答

学会として以下のように回答しています:

 

2型糖尿病で肥満症があり、心血管・腎症リスクのある人については、最適使用推進ガイドライン(OUG)にとらわれず、オゼンピック・マンジャロの使用が可能

糖尿病をもたない人に対するマンジャロやオゼンピックの使用事例に対して学会員・専門医に注意喚起をしているが、保険適用の範囲外で処方を行う学会員を退会させる措置を検討しているという事実はない 糖尿病をもたない肥満症の人で、OUGの基準を満たさない方、あるいはOUG適合施設に通院していない人についてのゼップバウンドやウゴービの使用については、抗糖尿病薬ではないので学会員などへの注意喚起をする立場にないが、使用の推奨はできない 現在保険適用になっていないcardiometabolic riskが高いと思われる軽度肥満の人への保険適用拡大やOUGの見直しについては、企業とも連携して研究を進めていく必要がある

美容目的でのチルゼパチド、セマグルチドの使用には許容できる環境にない。特にオンラインのみの診療は、副作用などの発見ができず全く許容できるものではない

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